教室の窓から差し込む朝の光。
小さな手が鍵盤に触れるたび、音楽がまた新しい物語を紡ぎ始めます。
44年という歳月の中で、たくさんの出会いと別れがありました。
それでも、音楽がある限り、教室は続いていく——そう信じています。
🎼 劣等感から始まった私の音楽人生
ヤマハ音楽教室時代から思い起こせば、44年という長い歳月を音楽とともに歩んできました。
子どものころ、ただ「音楽が好き」という一途な気持ちだけで講師になった私は、同業の先生方の才能に打ちのめされ、劣等感に襲われて逃げ出したくなったこともありました。
悩みの根っこは、難しい曲を弾く技術や知識の不足。高卒の私が音大を出た先生方と比べて勝てるはずもなく、与えられた指導マニュアルをこなすだけで精いっぱいの日々でした。
やっとつかんだ夢だったのに、出だしはそんな苦しいものでした。
🌱 教えることで、私も育てられた
年月が経つにつれて、教えることの意味が少しずつ変化していきました。
かつては「正しく弾けるようにすること」が目標だったのに、今では「音楽を通してその子らしさを引き出すこと」が何より大切だと感じています。
生徒の表情、保護者の方との会話、発表会での涙や笑顔——それらすべてが、私にとってかけがえのない宝物です。
音楽は、ただ音を奏でるだけでなく、人と人を結びつける力を持っているのだと、教室を続ける中で実感してきました。
🎵 教室は「音楽の学び舎」であり「心の居場所」
今の教室には、3歳の小さな手で鍵盤に触れる子もいれば、長年通ってくれている生徒さんもいます。
それぞれのペースで、それぞれの音楽を楽しむ姿を見るたびに、「この場所が、誰かの居場所になっている」と感じます。
私が目指しているのは、技術だけでなく、心が育つ教室。
音楽を通して自己肯定感を育み、挑戦する勇気を持てるようなレッスンを心がけています。
🌈 これからも、音楽とともに
44年という歩みは、決して順風満帆ではありませんでした。
でも、音楽と人に支えられて、ここまで歩んでこられました。
これからも、音楽を通して心が動く瞬間を届けたい。
親子で楽しめるイベントや、地域とのつながりを深める活動にも力を入れていきたいと思っています。
音楽は、人生の風景にそっと色を添えてくれるもの。
教室がその色のひとつであり続けられるよう、これからも心を込めて奏でていきます。
今日もまた、ひとつの音が、誰かの心に届きますように。

村上みゆきのプロフィール
1981年より高岡市でヤマハ音楽教室の講師として活動を始め、音楽教育に携わってきました。
その後、自宅にて音楽教室を開き、子どもたちやご家族と音楽の喜びを分かち合う日々を送っています。
現在は砺波市に暮らし、音楽を愛する地元の皆さまと心温まる交流を楽しみながら、教室を続けています。
音楽は、人生を彩るもの。
教室がその彩りのひとつとなれるよう、これからも心を込めて奏でていきます。